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再び汚職抗議デモについて、フォーリン・アフェアーズ掲載論文

3月26日にロシア各地で繰り広げられた久々の大規模デモには専門家たちの関心も高く、2017年3月31日付フォーリン・アフェアーズ電子版(https://www.foreignaffairs.com/)にも、<近代化>センターのアナリスト、アントン・バルバシン氏の論文が掲載されていました。(「ロシアの抗議行動にプーチンはいかに反応するか? なぜ和解より報復の可能性が高いか?」)

「3月26日の日曜日、およそ9万人のロシア国民が国内各地で抗議活動に繰り出した。このデモ行進が、その規模ゆえに、モスクワやペテルブルグといった従来の抗議活動の中心都市を超えて発生したゆえに、大きな驚きだったわけではない。はるかに意外だったのは、ロシア国民が反汚職キャンペーンのために街頭に繰り出した、ということである。確かに、ロシア国民は長い間汚職に苦しまされてきた。それでも、どれだけその実態が暴かれようとも、公にはほとんど沈黙していただけであった:「そんなことは知っていたさ、だが、俺たちに何ができる?」
しかしながら、今回は、汚職調査が何かそれ以上のものをスパークさせた。ウラジーミル・プーチンがほぼ20年前に権力の座に着いてから、反汚職キャンペーンに対する最大級の反応であった。事の発端は3月2日、ロシア野党とつながる<汚職と闘う基金>が、ドミートリー・メドベージェフ首相に関する暴露動画を流したことにある。<汚職と闘う基金>が、メドベージェフは公式のサラリーから貯め込むことができる以上の700億ルーブル(12億ドル)の資産を蓄財している、と暴いたのである。同基金の流した動画には1500万回以上ものアクセスがあった。
確かにクレムリンには赤ら顔の連中が大勢いる。汚職調査の先頭に立っているロシア野党勢力の主役アレクセイ・ナヴァルヌィの容貌とは対照的だ。動画が流されたすぐ後に、2018年大統領選に向けたスタートを意味するロシア東部でのラリーで、ナヴァルヌィは緑色のペンキをぶっかけられた。それが毒性や酸性の液体でないことを確かめると、彼はすぐにその汚れをインスタグラムでアイコンに変えた。緑色の顔はウィールス性を帯びた。緑色のペンキに汚れた顔の男は、平和を乱したかどで赤の広場で拘束された。
ロシアで抗議活動を行うことは常に幾分リスキーなことではあったが、今ではほぼ非合法化されてしまっている。2011年末に下院選の不正に抗議する大衆デモが巻き起こった。最大規模のデモが真冬に行われたことから、<冬の革命>と呼ばれた。自身の権力が滑り落ちていくことを怖れたプーチンは、抗議行動を起こすにはより複雑な役所の手続きを必要とすることにした。彼は権力機関にデモ参加者らを訴追する新たな法的ツールを与え、その本気度を示すために、目立つ数人を投獄させた。
2012年5月6日の<数百万人のデモ行進>では、34人のデモ参加者らが訴追された。そのうち14人は2年5か月から4年5か月の実刑判決を受け、二人は3年3か月の保護観察となり、一人は強制治療を宣告された。
結果としてプーチン体制は、それ以降は大体にして大衆の実力行動を何とか防ぐことができていた(暗殺されたロシアのリベラル野党指導者ボリス・ネムツォフの追悼デモのような、クレムリンが許可したごく稀な例を除いて、集会を開こうとすれば、すぐさま大勢の警察官に突撃された)。
だからこそ、モスクワとペテルブルグ、極東のウラジオストクから中部のノヴォシビルスク、欧州の飛び地カリーニングラードに及ぶ、先週日曜日に行われた数千人規模のデモ行進には、その組織者たちも政府も驚きを隠せなかったのである。モスクワだけでも、1030人が逮捕された。国内全体では、1800人以上が逮捕され、その中には12人以上のジャーナリストたちも含まれている。
ジャーナリストや公人や専門家たちの中には、この数か月間は2018年の大統領選を控えたプーチン体制の溶解の始まりである、と主張する者たちもいる。この文脈に沿えば、プーチンは不満の矛先が個人的に自分に向かってくるのを防いでくれるであろう<ノーマルな>空気を生むために、自身の政権がもっと包括的で攻撃色の薄いものに見えてほしいと願うはずだ。
政治的雪解け説のもとは、旧首相で今は大統領府第一副長官のポストについているセルゲイ・キリエンコの存在にある。彼は2016年10月に、リベラルたちが<偏狭な信者たちの野蛮なゴッドファーザー>と呼んだビャチェスラフ・ボロジンと交代する形で抜擢された。キリエンコは、プーチンがいわゆる70プラス70、つまり70%の投票率で70%の得票率を得て再選されるために政権入りさせた、と一般的には信じられている。こうした野心的な計画には、より高い信頼をひきつけ、政治的に独立していると見なされうる少なくとも一人の候補者に立候補させることが必要だ。
要するに、何とかしてナヴァルヌィにプーチンの対抗馬として出馬させれば、プーチンの再選を合法化させ、クレムリンはいかなる競争もさせなかったという批判を和らげる役に立つだろうということなのである。仮にこの読みが正しければ、クレムリンは今回の抗議活動に厳しく報復したり、犯罪行為で訴追したりすることは避けるだろう。ちょっとしたペナルティを科すにとどめ、国内の政治活動を<マネージ>していく方向に戻るだろう。例えば、青年層向けに国家主導の愛国キャンペーンを展開して、あちこちで数人の政治家や官僚らを投獄して、ナヴァルヌィへの不信感の種をまくキャンペーンに切り替え、最終的には様々なレベルで抗議活動に参加した政治家や指導者たちを取り込んでいくやり方を選ぶかもしれない。
もちろん、そうした行動は、ナヴァルヌィと野党勢力に、体制は皆が思うほど野蛮でもなければ血に飢えているわけでもないというシグナルを送るだろう。反対に野党勢力は、この機をとらえてさらに大きなデモを仕掛けてくることもありそうだ。
しかしながら、こうしたシナリオが演じ切られる可能性は相対的に低い。
比較的寛容であるというイリュージョンを保ってくれるような込み入ったバランス行動を取る代わりに、クレムリンは反対派の活動家らを選択的に逮捕して、ナヴァルヌィの<汚職と闘う基金>に犯罪の嫌疑をかけて、完全にマヒさせてしまうこともありうる。
こうしたケースの場合には、2018年の大統領選は真の競争選挙であるという幻想を誰にも抱かせることはできないだろう。望ましい投票率を達成するために、クレムリンはプロパガンダその他の努力をせっせと汲み出さなければならない。今日、<クリミアのコンセンサス>は剥げ落ち、クリミア併合の後に多くのロシア国民が味わったであろうと想像される高揚感は霧散してしまった。この3年間ロシア国民が口にするのを避けていた諸々の社会問題がクレムリンを悩ませている。
経済危機が全国でロシア国民を襲っている。大都市の住民たちが大衆抗議活動に打って出ないように防ぐことは、クレムリンにとって死活的に需要なのである。当局はすでにナヴァルヌィを15日間拘束し、この2週間はどんな新たなデモにも参加できない処分を下した。<汚職と闘う基金>の同僚レオニード・ヴォルコフは、日曜日のデモ行進のオンライン放送中に<ヘイトクライム>の罪を着せられた。同基金の11人のメンバーたちがそれぞれ10日から15日間収監され、事務所は急襲されてほとんどの機器が持ち去られた。
クレムリンは間もなく、裏切者たち、すなわちロシアにカオスと破壊をもたらすことを望む国外の雇い主たちの命令に従う<第5列>に対して、大掛かりなプロパガンダ攻撃を掛けてくるかもしれない。今のところ、彼らは、デモ行進を反抗的な若者たちの行動というフレームにはめ込もうとしている。国は少数派の役割を大げさに言い立て、デモ行進の地理的な広がりを軽視し、その様々な要因を取り繕った。プーチンの報道官に至っては、もし逮捕されたらカネをやると、ナヴァルヌィが若者たちに約束した、とまでほのめかしている。
特にプーチンが4期目を狙って立候補するだろう大統領選を1年後に控えたクレムリンにとって、3月26日に始まった事態を鎮圧しない代償は高くつくだろう。2000年に大統領に就任して以来、権力の保持がプーチンの最大のモチベーションである。今回は違った行動を取るだろうと信じる理由は何もない。しかしながら、今のところ、ロシア野党勢力の活動家たちは、クレムリンの反応を正確に見極めようとしている。天秤は報復の方向に傾きつつある。そしてナヴァルヌィの逮捕はその始まりに過ぎない。」

当のメドベージェフ首相ですが、ナヴァルヌィ氏が動画で流した<秘密の帝国>について、
次のようにコメントしているそうです。4月5日付の独立新聞電子版(http://www.ng.ru/)がインタファクス情報を伝える形で報じていました。

「メドベージェフの言葉によると、この動画のスポンサーは全員が個人投資家であり、その狙いは人々を街頭に引っ張り出すこと、そして『有名なキャラクターが彼(ナヴァルヌィのこと)を大統領にしようと大っぴらに呼びかけている』のである。
メドベージェフは、この調査は具体的な政治目的を追っている人たちにとって有利なものだ、と言明した。集められた資料を、彼は<コンポート>と呼んだ。『すべて<コンポート>のレシピに沿って作ってある。あれこれ様々くだらないものの寄せ集めだ。私や私の知人たちや、私がその名前を聞いたこともないような人たちや、私がよく訪れていたさる場所や、さらには私が一度も耳にしたことがないような場所に関して言えば、何かの書類や写真や衣服をかき集めてきて、製品を作りあげ、それを提示しているだけだ』」

まったくと言っていいほど、説得力がありませんね。

4月4日には、プーチン大統領が自身の支持母体<全ロ人民戦線>の集会に参加するために滞在していたサンクトペテルブルグでの中心部で、地下鉄爆破テロが起きました。この日、ベラルーシのルカシェンコ大統領との会談も予定されていました。爆発の直後、予定通りルカシェンコ大統領との会談に臨んだプーチン大統領したが、その表情は硬く、衝撃を受けた様子がありありとうかがえた、と報じられています。その後、ロシア各地で爆発物事件や治安機関襲撃事件が連続して起きています。
ソ連崩壊後の混乱からロシアを立て直して秩序と安定と安全を取り戻したというプーチン大統領の<売り>に、どうやら陰りが生じてきているのではないかという印象を受けます。来年3月の大統領選を控え、ロシアの国内情勢は少しずつ流動化し始め、<政治の季節>が始まったようです。
国外に目を向ければ、6日にトランプ政権が「化学兵器を使用した」としてシリアのアサド政権の空軍基地を突如ミサイル攻撃しました。アサド政権を支援するロシアは猛反発し、米ロの関係改善への期待は完全に崩れ去って、最悪状態に逆戻りです。
まさに内憂外患のプーチン政権ですね。
 

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